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多剤耐性グラム陰性菌感染制御のためのポジションペーパー 第2版を公開しました

Last Update:2017年7月28日

一般社団法人日本環境感染学会
多剤耐性菌感染制御委員会


  平成23年7月に公表された「多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(multiple drug-resistant Acinetobacter baumannii: MDRA)等を中心とした多剤耐性グラム陰性菌感染制御のためのポジションペーパーは日本環境感染学会誌に掲載されるとともに学会ホームページ上でも公開され、学会会員のみならず多くの医療従事者の方々に広く認知され、我が国の感染対策に大きく貢献した。
 その後6年が経過し、その間に感染制御の状況は大きく変化した。平成24年には診療報酬に感染防止対策加算ならびに感染防止対策地域連携加算が加わり、感染対策の質が求められるようになった。平成26年には感染防止対策加算1の要件として、JANIS等への参加が義務付けられ、サーベイランスの重要性が示唆された。薬剤耐性菌は伊勢志摩サミットでもとりあげられ、平成28年にはアクションプランが策定された。
 懸念されたMDRAや多剤耐性緑膿菌(multiple drug-resistant Pseudbmonas aeruginosa: MDRP)は感染対策に関わる方々のご尽力やポジションペーパーの活用で、増加を抑止できている。一方で、米国疾病対策予防センター(CDC)から「悪夢の耐性菌」として警告されたカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae: CRE)が大きな問題となってきている。確かにCRE の問題が深刻になっているのは諸外国であるが、すでに日本国内の医療機関でもCREによるアウトブレイクが起こり、マスコミで取り上げられている。
 この状況を受けて、平成26年9月に感染症法施行規則(省令)が改正され、「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症」が、5類全数報告疾患に指定され、全国全ての医療機関で該当する感染症の患者を診断した場合には保健所に届け出ることが義務付けられた。このような状況で、CRE対策にも有用なポジションペーパーを望む声が大きくなってきていた。
 前回も述べられていたように、MRSAやバンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant Enterococci: VRE)とは異なり、多剤耐性グラム陰性菌における感染制御の問題は、多種の菌種が複雑に関与しているため、原因が複雑で、未だ科学的なエビデンスに乏しい。しかしながら、多剤耐性グラム陰性菌における感染制御は、喫緊の課題であり、現在わかっている事項だけでも集約しまとめることで、現場からの切実な要望に応えたいと判断した。
 このため、当学会を代表する専門家による多剤耐性菌感染制御委員会を組織し、CREを含めた多剤耐性グラム陰性菌全般を制御するための共通のコンセンサスをまとめた。このポジションペーパーが各施設における多剤耐性グラム陰性菌の感染制御推進のお役にたてば、委員会メンバーの望外の喜びである。

  多剤耐性グラム陰性菌感染制御のためのポジションペーパー 第2版 (1.35MB)

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