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学会について
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Last Update:2015年5月11日

理事長挨拶

一般社団法人日本環境感染学会 理事長 賀来 満夫

感染制御におけるパラダイムシフトを目指して
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 このたび、小西敏郎前理事長の後任として本学会理事長に就任いたしました賀来満夫でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 日本環境感染学会は1986年に設立されて以来、大きく発展し、いまや8,500名を超える会員数をほこる、感染制御領域としては世界最大規模の学会となっています。本学会は感染制御に関するさまざまな学術的活動はもちろんのこと、医療・介護現場における感染症の制御や予防、さらに地域社会における感染症の蔓延防止にもこれまで大きな貢献を果たしてきており、まさに“感染制御、感染症予防、感染症危機管理に関する専門家集団”として、学術研究の進歩発展、国民の健康増進及び公衆衛生の向上に寄与しています。特に2014年1月6日からは一般社団法人に移行するとともに、学会の英語名もJapanese Society for Environmental Infectionから“Japanese Society for Infection Prevention and Control”に改められ、これまでにも増して専門家集団としての社会的役割、グローバルな役割が期待されているところです。

 公衆衛生の普及や優れたワクチン、抗微生物薬の登場などにより一見制圧できたかに見えた感染症は再び私たちの前に大きな脅威として蘇ってきております。MRSAや多剤耐性緑膿菌・多剤耐性アシネトバクター・カルバペネム耐性腸内細菌などの薬剤耐性菌やノロウイルス、クロストリジウム・デフィシルなどによる感染事例の多発、新たな鳥インフルエンザウイルスの出現、西アフリカでのエボラ出血熱のアウトブレイク、中東における中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome:MERS)の発生、重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever Thrombocytopenia Syndrome:SFTS)の国内での発生、さらに1946年以降はじめてのデング熱の国内発生例の出現など、さまざまな新興・再興感染症による脅威が私たちの前に立ちはだかっています。これらの新興・再興感染症の共通の問題点としては、感染症の“原因微生物の多様化”、そして感染症の“グローバル化・ボーダーレス化”が挙げられ、今や感染症の問題は動物由来・環境由来を含めた原因微生物の多様性を常に考えていく必要があること、また、さらに人々の交流や交通の発達により、世界そして地域全体へ感染が伝播蔓延し、大きな影響を引き起こす可能性があることなど、感染症は社会における“危機:クライシス”そのものであることを強く認識することが不可欠な状況となっています。

 すなわち、感染症の問題は今や個々の医療関連施設だけではなく高齢者施設や学校などを含めた地域社会全体における“クライシス:危機”であり、このような感染症クライシスへ迅速かつ的確に対応していくためには、医療関連施設と行政機関とがより密接な連携・協力体制を構築し、併せてメディアや一般市民の方々ともこれまで以上に情報の共有化をはかり、社会全体におけるリスクコミュニケーションの徹底、相互協力・支援体制の構築に取り組む“パラダイム”が必須であり、医療施設、行政、メディア、一般市民の方々が共に協力し“感染制御ソシアル(社会)ネットワーク”を構築し、一体となって対応していく必要があります。

 本学会には、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、介護スタッフ、行政の医療保健担当者、企業勤務の方々、基礎医学領域の研究者の方々など多くの職種の方々が正会員として参加されており、様々な分野・領域における専門家集団として活躍されています。その意味からも、本学会はまさに、このネットワークの要となるものであり、今後、その専門性をさらに高め、地域社会での貢献や世界に通用できる人材を育成していくとともに、積極的に“パラダイムシフト”をはかり、社会に還元できる診療、研究、啓発教育活動を実践していくことが必要であると考えております。

 会員皆様方のご協力、ご支援のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。

          2015年5月7日

一般社団法人 日本環境感染学会
Japanese Society for Infection Prevention and Control
理事長 賀来 満夫

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