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理事長挨拶

Last Update:2023年11月24日

一般社団法人日本環境感染学会 理事長 四柳 宏

「感染制御の進化を目指して」

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 このたび、吉田正樹前理事長の後任として第10代の本学会理事長を拝命いたしました東京大学医科学研究所の四柳 宏(よつやなぎ ひろし)と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 日本環境感染学会は今年で設立から37年を迎えました。ホームページにこの間の主な経緯に関して記載されておりますので、ご参考にしていただければと存じます。
 吉田理事長の着任された2019年は新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の発生した年として歴史に刻まれる年になりました。着任されて間もなく新型コロナウイルス感染症対策 専門家会議に館田一博先生と共に携わられることとなりました。日本環境感染学会としても2020年の第35回日本環境感染学会総会・学術集会(金光敬二会長)における緊急セミナー、特別企画の開催をはじめとして医療従事者、一般生活者にCOVID-19に関する知識・感染対策について広く案内して参りました。
 日本はスペイン風邪以降この時まで真のパンデミックを経験してこなかったと言ってよいかと思います。いわば丸腰でCOVID-19を迎え撃った状態でしたが、世界一の高齢国にもかかわらず感染者、重症者の発生を他の先進国に比べて抑えることができました。その理由はいろいろですが、多くの医療従事者が感染対策を遵守したこと、一般生活者に基本的感染対策が浸透したことが大きかったと思います。
 感染対策が重要な役割を持つ場の一つが災害現場です。2011年の東日本大震災の後には、小西敏郎先生・賀来満夫先生のリーダーシップのもと「避難所における感染対策マニュアル」を公開しました。2014年には「大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き」を公開しました。災害時感染制御検討委員会のもとDMATと協力して災害時の感染対策にあたる体制も構築されました。こうした経験・準備が2020年2月のダイアモンド・プリンセス号内でのCOVID-19対策に役立ったことは間違いありません。多くの学会員が対応にあたられたことに改めて感謝と敬意を表したいと思います。
 これらの経験から私たちは多くのことを学びました。大きなこととして地域において感染対策のリーダーとなる人材を育てること、自治体や一般生活者と協力することの大切さが挙げられます。本学会は医療現場における感染制御や予防、地域社会における感染症の蔓延防止にこれまで大きな貢献を果たし、さまざまな学術活動を行って参りましたが、今後ますます地域のネットワークの活動を支援することに力を入れていきたいと考えており、その準備を進めております。多くの医療従事者に加え、社会の様々な場で感染症に対応しなければいけない方にも参加して頂き、現場の感染対策を学び、実践して頂くための場を提供していきたいと考えています。
 感染症の世界は基礎・臨床・社会のどの分野でも広く深いですが、COVID-19は感染拡大を防ぐための基本的感染対策、ワクチン接種の重要性を私たちに教えてくれたと思います。基本的感染対策はこの先最大の問題とされるAntimicrobial Resistance(AMR)の対策に通じるものですし、ワクチンに関しては今後多くの感染症に関して新たな開発が進み、感染症の予防に新たな展開をもたらすものだと思います。日本環境感染学会としても基本的感染対策を国民とともに推進していくことに加え、会員の研究・実践の場を広げていくべく取り組んで参ります。
 会員の皆様におかれましては、今後も益々の活発なご活動を続けて頂き、本学会へのご支援、ご協力をお願い申し上げます。

2023年11月1日

一般社団法人 日本環境感染学会
Japanese Society for Infection Prevention and Control
理事長 四柳 宏

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