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抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス(最終版)

Last Update:2017年9月29日

(2017年8月21日 掲載)
(2017年9月29日 更新)

公益社団法人日本化学療法学会・一般社団法人日本感染症学会・
一般社団法人日本環境感染学会・一般社団法人日本臨床微生物学会・
公益社団法人日本薬学会・一般社団法人日本医療薬学会・
一般社団法人日本TDM学会・一般社団法人日本医真菌学会
8学会合同抗微生物薬適正使用推進検討委員会


抗菌薬適正使用実践ガイダンス前文

 2016年春、政府は薬剤耐性(antimicrobial resistance, AMR)対策アクションプランを公表し、国として世界的な脅威となっている耐性菌感染症に積極的に取り組む姿勢を明確にした。5月の伊勢・志摩サミットでもこの点は強調され、9月の世界保健相会議でも改めて各国の協調が確認されている。その中の一項目に‘抗菌薬の適正使用’が謳われており、耐性菌対策の重要な柱の一つとしての取り組みが望まれている。抗菌薬の適正使用を考えてみると、言うまでもなく過去の抗菌薬の頻用・乱用は耐性化を助長した元凶である。しかし、それゆえに院内感染対策の重要項目の一つにも加えられ、特定抗菌薬の届出制や許可制などの使用規制が実施されてきた経緯もある。それがまったく無効というわけではないが、形骸化した届出制や、感染症治療の専門家による積極的な介入を伴わない許可制などが、目を瞠はるような耐性菌抑制効果を生むとは考えられないし、事実欧米ではバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)やカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の感染拡大を防止・抑制することはできなかった。そこで、注目されているのが抗菌薬適正使用支援(antimicrobial stewardship, AS)と呼ばれる取り組みであり、政府のアクションプランでもASの実践が推奨されている。ASは1990年代から欧米では積極的に取り組まれてきたもので、その解説や実践ガイドラインも公表されており、2016年には新しいガイドラインも米国感染症学会から示されている。すなわちASへの取り組みは欧米では長い歴史があり、様々な取り組みや方法論も試みられ、またその評価もなされているので、これからASに取り組もうとする我々には大変参考になる。他方、欧米と我が国とのASを実践する上での背景因子の差は大変大きく、医療制度や感染症の実態は異なり、さらにはASに取り組むべき各領域での感染症専門家の質と数には隔たりが大きい。しかしながら、そのような状況下でもASに取り組むことは我々にとっても急務であり、先送りにすることはできないと考えられる。そこで、今回、我が国においてASの実践に取り組む際に中核となるであろう8学会は共同して、2016年春にASの必要性を国や社会に訴える提言を公表し、その後、我が国におけるASの実践がどのような形で取り組まれるべきかをガイダンスとして公表すべく作業を行ってきた。適正使用は院内・外来いずれの抗菌薬処方においても重要であるが、今回は院内抗菌薬処方に限定したガイダンスの作成を目指した。完成したガイダンスは8学会でコンセンサスが得られたのでここに公表する。それぞれの医療施設でこれから新たにASに取り組もうとされる場合に、本ガイダンスを参考にしていただければ幸いである。

  抗菌薬適正使用支援プログラム実践のためのガイダンス (1.58MB)

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